自動車事故の交渉術:代車は出ません!
「100:0(ひゃくぜろ)の事故じゃないと代車はでないんです。」
車同士の事故で、自分の車の修理中の代車を加害者側の保険会社に要求した場合、このようにいわれることが多いだろう。通勤や仕事で使っている人にとっては、代車が出ないのは死活問題にかかわることがある。
しかし、加害者側の保険会社の事故担当者はそんなことに関係なく、こういうことを口にすることがある。
よくある事故担当者の話法
・加害者の過失割合(責任の割合)が100%の事故ではないと代車は出せない・お互い様の事故なので代車は出せない
・100:0でも業務に使っていないのなら代車は出せない
【解説】
これらの共通する保険会社の主張は「過失が100:0の事故でないと代車費用が損害として認められない」ということだ。損保業界では「常識」として通用しているが、しかし、これは単に保険会社が賠償金の支払いを抑えたいがための「うそ」といっても過言ではない。
100:0の事故であっても、保険会社は代車を断ろうとするくらいなのだ。(事故部門の管理指標に「代車認定率」があるくらいだ) 「被害者にも損害軽減義務があります」で片付けようとする事故担当者もいるだろう。
このような交渉を自分が加入している保険会社がやってくれるのかというと、それは違う。
自分の保険会社であっても、相手方への代車費用の請求行為はしてくれない。 (相手方の保険会社に「伝言を伝える」くらいはやってくれる)
このため、保険に加入していても、相手方の保険会社と直接交渉をすることがある。
代車を出させるための交渉術
・代車を使う必要性がある・代車を実際に使い、その費用が発生している
・代替の交通手段がない
などの条件がそろえば、過失割合が100:0だろうが50:50だろうが、本来は代車費用は損害として認められるべきものだ。
この条件を満たしているかどうかを判断するには、 「自分自身が自損事故を起こしても、絶対に代車が必要かどうか」ということを考えれば簡単だ。
自損事故でも代車が必要な人なら、上記の条件を満たしているということだろう。
ただし、請求できるのは相手方の過失割合相当額だけである。
相手方の過失割合が80%なら、代車費用も80%しか請求できない。残りの20%は自己負担をする必要がある。
逆に相手方から、相手方の代車費用が請求されることも覚悟しておく必要はあるだろう。
代車を断ってくる事故担当者との交渉テクニック
まず代車の必要性を主張する。たとえば、業務でどうしても必要とか、交通が不便であるとか、早朝や深夜に通勤に使うなどである。その上でこういうといいだろう。
・「代車は100:0の事故でないと出せないという根拠を示してください」という
・「自分の過失割合部分は自己負担しますが、なぜ加害者の過失割合部分も出せないのですか」という
いずれも「書面で出してください」というのが効果的だ。
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