ダイレクト損保の指定修理工場制度を考える

今日、「有限会社池内自動車」という自動車修理工場がバナー広告を出しているのを見かけた。

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有限会社池内自動車のサイト


自動車保険のバナー広告はあちこちでみかけるのだが、有限会社の町工場のような自動車修理工場がネット広告を出すのは珍しい。

クリックしてみた先の広告ページも、ちょっと情報商材のような胡散臭さがあるものの、訴求ポイントをきっちりおさえたわかりやすい広告である。


これを見て思ったのだが、そもそもダイレクト損保の指定修理工場制度っていうのは誰のためにあるのだろうか?
各社はだいたい「無料代車」と「無料引取り納車」を訴求しているが、そんなに顧客メリットがあるのだろうか?

おそらくダイレクト損保各社が指定修理工場制度を構築しているのは、顧客価値を考えたものではなく、単に「損保から指定修理工場に入庫誘導することによって、保険金の支払い単価を抑える」というものからだろう。
たとえばイーデザイン損保の指定修理工場のサービスは「車両保険で修理する場合」にしか受けられないことからも明らかだ。

そもそも「指定修理工場制度」とは、既存国内損保が「自社代理店をやっている修理工場への本業支援」と「保険金支払い圧縮」という側面からスタートしているものだ。
新しいイーデザイン損保も、所詮は既存国内損保と同じ発想レベルなのだろう。

保険を使って修理する場合、たかだか「無料代車」「無料引取り納車」程度のサービスでわざわざ見ず知らずの町工場で修理したい人が多くいるのだろうか?
私だったら、保険で修理するなら、買った自動車ディーラーとかで修理してもらったほうが、あとで不具合が出たときにクレームもつけやすいし、安心に感じる。

この有限会社池内自動車のように安く修理してくれる修理工場の存在価値は、特に「保険を使いたくない小さな傷」などの修理時に大きな意味を持つのではないだろうか。
有限会社池内自動車も、そのあたりはわかっているようで、ターゲットを「ちょっとクルマをこすった人」に絞っている。


この経済情勢を考えると、クルマにかかるトータルコストを1円でも安くおさえたいという顧客ニーズは必ず存在する。ただし保険で修理するなら自分の懐は痛まないので「ディーラーでちゃんとした修理を」と思う顧客の心理がある。
今のダイレクト損保各社の指定修理工場制度はそのアンマッチが生じているのだ。

ダイレクト損保は、保険金支払い単価の圧縮を目的とした修理工場ネットワークをつくるよりも、「保険を使わない小さな傷の修理や、車検などでも気軽に行けるクルマのホームドクター」っぽいコンセプトで指定修理工場制度を見直すことが必要ではなかろうか。

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