ソニー損保のコミュニケーションサイト「不満ゼロへの挑戦」

ソニー損保のコミュニケーションサイトの「不満ゼロへの挑戦」というコーナー。

事故対応だけでなく、ロードサービスやコールセンター、ウェブサイトなど顧客との接点がある各チャネルの顧客アンケートの結果を開示しているものである。

営業的な目的で顧客アンケートを開示をするのであれば、「いかに当社のサービスが優れているか」を訴求することを考えがちだが、ここでは「不満の内訳」をクローズアップしている点に注目したい。

「お客様の声」と同様に、企業がユーザーの「不満」を開示するということはかなり勇気がいるものだと思うが、ソニー損保では、「不満の内訳」を開示するだけでなく、改善のための取組み方針まで宣言している。

改善への取組み方針を宣言するというものは、三菱自動車の欠陥隠しや、保険金不払いのようにマスコミに叩かれたり、行政処分を受けた場合などに行われるものが多いが、ソニー損保の「不満ゼロへの挑戦」はそういった不祥事対応とは関係なく、企業側から自発的に行われているものである。

ここまででも、一般的な企業よりはるかに顧客志向の企業であると感じるのだが、さらに驚くべきことは、その進捗について、各部門の担当者がブログで報告をしている点である。

企業のブログというと、損保業界ではほとんど事例がなく、知る限り富士火災の「みんけんブログ」という医療保険のマーケティングブログくらいで、そもそも企業ブログ自体、損保業界とは無縁に近い存在と思っていた。
そんな中、ソニー損保はブログを業務改善の進捗報告に使ってきた。
企業におけるブログの活用事例としては、他に例を見ないものである。


もちろん厳しいことをいえば、各担当者の更新頻度もばらつきがあるなど、ブログで進捗報告をしていくことに社内のコンセンサスをしっかり取れていないのかもしれない。
しかし、記載されている記事を読むと、「ここまで開示するか」というような機密情報に近いようなものまで開示していることを私は評価したい。
(ただし、トラックバックを受付けていないのはマイナスポイントである)


ブログの記事の中から特に注目すべきものを2つほど挙げてみる。

「事故対応サービス」の「コミテッドサービスを開始します」という記事。

ソニー損保では保険会社に事故の報告をしてから担当者からの連絡までの時間を3時間以内に「コミット(約束)」するサービスを2006年11月より開始しているようだが、約束の遂行状況をこのブログで報告し、約束を守れなかったものの件数とその改善策を掲載している。
コミットしている内容自体は、いろいろ条件や制限があるなどさほど驚くほどのものではないのだが、企業が顧客に対してサービスレベルを「コミット」するというのは、損保業界では初であろう。


「ロードサービス」の「今年を振り返って」という記事

最近はダイレクト系の自動車保険に加入すると「無料ロードサービス」が提供されるが、提携業者も各社ばらばらで、いざトラブル発生の際にスピーディかつ適切に対応してもらえるか全く不透明なものであった。

保険会社側の視点では「そもそも無料で提供しているんだし、提携先業者の品質まで自分たちで関知する必要はない」と考えがちだが、顧客から見ると事故対応と同じくらい価値を感じて自動車保険に加入している方も相当数いるのではないだろうか。

そんな中、ソニー損保では、ロードサービスのクオリティを数値として開示を始めている。
顧客に提供するサービスは提携先業者であろうとなかろうと、会社として責任を持ってクオリティを保つ努力をしようとしている姿勢はロードサービス提供をしている他の損保も見習うべきものではなかろうか。

例えば、広告で「care」を訴求するチューリッヒなら、careのサービスレベルを客観的な数値として開示するべきである。
それができないのならいっそのこと三井ダイレクトのように「サービス品質よりも安い価格」といった訴求のしかたのほうが潔くてよい。

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