イーデザイン損保の事故対応を評価

ブログ記事が止まらない。書きたいネタが山ほどある保険会社だ。
次はイーデザイン損保の事故対応を評価してみる。

といっても、開業したばかりでユーザーの口コミ情報は当然のことながらまだないので、ウェブサイトなどに記載されている情報を元に特筆すべき点を挙げる。


■事故処理拠点は東京・大阪の2拠点のみ

事故の際に事故処理をする拠点「損害サービスセンター」は東京・大阪の2拠点。
ダイレクト自動車保険の中でも最低レベルの体制である。
これでは、せっかくの東京海上グループというメリットを活かしているとはいえない。

「損害サービスセンター」が「東京・大阪」のみということが明記されていないのはあまりこのことを知られたくないということなのだろうか。

「お問い合わせ」のページにひっそりと「拠点一覧」というリンクがあるだけである。
http://www.edsp.co.jp/service/service_001/popup.html

なお、「全国214拠点の損害調査ネットワーク」とあるが、「損害調査ネットワーク」といは、「修理工場に壊れた事故車両を確認するネットワーク」で、事故の相手方との示談交渉や顧客対応を行うネットワークではない。
重要なのは「損害サービスセンター」の拠点数だ。誤認しないように注意したい。



■事故の初期対応

事故のスピーディかつ円満な解決において重要なのは、事故の発生時に適切な指示や対応をどれだけしてもらえるかどうかということ。

事故の際、相手方や病院・修理工場などに電話をして治療費の手配や代車の手配をする「初期対応」を土日であってもやっているのかが、その会社が事故処理に力を入れているかどうか見極める一つのポイントになる。

イーデザイン損保は9:00~21:00の間に対応するとあり、いっけんするとダイレクト自動車保険の中でもかなり手厚いサービスに見える。

しかし、よく見ると「休日の9時から21時と平日の18時から21時は、お客さまからのご要望に応じて実施します。 」とある。

平日の9:00~18:00は東京・大阪の「損害サービスセンター(事故処理拠点)」のスタッフが行い、それ以外は、別のスタッフが行っているのだろうか。
この「要望に応じて」という「但し書き」があるところが潔くない。どちらかはっきりすべきだ。

 関連URL:事故直後の初期対応内容比較


■「セカンドオピニオン」サービス

イーデザイン損保の事故処理体制で最も注目すべき点は「セカンドオピニオン」サービスだ。

「セカンドオピニオン」サービス:
保険金のお支払いについては、担当者の他に、ご相談の専用窓口として「保険金請求ご相談窓口」を設けています。様々な角度からお客さまの疑問や不安にお応えします。


多くのダイレクト損保がウリにしている「1事故専任担当者制」をイーデザイン損保も採用しているが、「自分の事故はいつも同じ1人の担当者に聞けば話が通じる」というメリットがあるが、一方で「ハズレ」の担当者に当たった場合、不満を表明しにくいし、その担当者に不信感を持った場合に、担当者を信頼していいかどうか判断しにくいというデメリットがある。

このイーデザイン損保の「セカンドオピニオン」サービスなら、この「専任担当者制のデメリット」を解消することが出来るだろう。

ただし、どのような場合に「セカンドオピニオン」サービスが利用できるのか詳細がわからない点に注意が必要だ。

「後遺障害の等級の認定結果」や、「約款上、保険金の支払対象外となった場合」だけに使える「再審査請求制度」を「セカンドオピニオン」と呼んでいるだけであれば、実際にこの「セカンドオピニオン」を利用できるシーンは極めて限られるだろう。

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■「お見舞いメール」の送信

「お見舞いメール」:
台風などの自然災害が発生した際、ご契約者に対して、お見舞いのメールをお送りします。
このメールは保険金請求をご案内する内容になっているため、ご契約内容や災害内容によっては、お客さまご自身で補償内容を確認する手間が省け、スピーディーに保険金を請求することができます。


私はこれを見て、ソニー損保が2001年に千葉県で大規模な「雹(ひょう)」が降ったときに、ソニー損保が対象地域の契約者に電話をかけ、安否の確認と保険金請求の案内を行ったというエピソードを思い出した。

http://from.sonysonpo.co.jp/company/news/biz/nw000530.html


私は当時某国内損保で事故処理担当者をしていたのだが、社内でこのニュースが回覧で回ってきたのをよく憶えている。
(ソニー損保がその後、こういった取組みを継続してやっているのかも気になるが)

これに似たコンセプトのサービスをイーデザイン損保は「Eメール」というツールを利用してサービス展開を行うようだ。

これは、「保険会社は自分から請求しない限り、保険金を支払ってくれない」というネガティブな業界イメージを払拭し、イーデザイン損保への信頼感・ロイヤルティを高めることになるだろう。
コストを掛けず、契約者の信頼感を高める施策としては眼のつけどころがいい。


■事故時のインターネットサービス

PCサイトだけでなく携帯サイトからも事故の経過照会や、担当者への質問ができるサービスを展開してきた。

・事故経過照会(PC/携帯)
・担当者への事故の相談(PC/携帯)
・情報更新時のお知らせメール(PC/携帯)
・更新時の保険料確認(PC/携帯)


PCサイトでこのようなサービスを提供しているダイレクト損保は複数存在しているが、携帯サイトから担当者への質問が出来るサービスを提供しているのはたしかソニー損保だけであった。

日中、事故担当者に電話をする時間がない契約者にとって、PCや携帯から担当者に質問できるという機能は便利である。

イーデザイン損保のインターネットサービスのスペックをソニー損保と比較をしてみると、ほぼ同じサービスを実現しており、ダイレクト損保でトップレベルのネットサービスといえる。

なお、今回イーデザイン損保の追随によって、事故時のインターネットサービスにおいて、ソニー損保の他社へのアドバンテージが完全になくなった。




■まとめ

事故処理拠点(損害サービスセンター)が東京・大阪だけであることなど、「東京海上グループ」という言葉から過度の期待をすることは危険だろう。

ただ、他のダイレクトがやっていない「セカンドオピニオン」や「お見舞いメール」という消費者本位の新サービスは高く評価したい。
そして今後、イーデザイン損保が「顧客価値の高い新サービスの開拓者」となっていくことを私は期待している。

以前はソニー損保が「異業種参入」らしい面白いサービスを次々に開発していたのだが、ここ数年は「普通の保険会社」に成り下がっている。
イーデザイン損保の参入によって、いい意味での損保業界内でのサービス競争が再び起きてほしい。

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